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坂本真绫欧洲游记----From Every Where 5-2

Informações:

Sinopse

ストラホフ修道院。 12世紀に建てられた質素(しっそ)な建物。その中に、中世(ちゅうせい)からそのままの姿で受け継がれているという美しいふたつの図書室がある。「哲学(てつがく)の間」と「神学の間」。壁一面の本棚にぎっしり詰まった本。高い天井(てんじょう)にはたくさんの天使を描いたフレスコ画がほどこされ、窓から差し込んだ光が柔らかくそれを照らしていた。保存(ほぞん)のため、部屋の内部までは足を踏み入れることができず、入り口から中を覗き込むことしかできないのだけど、そこに立ったときの胸のざわめきーーああいう感覚(かんかく)は、初めて味わった。古い本の、独特(どくとく)な匂い。音もなく動きも無いのに、静かな空気の中に、何か、とてつもなく力強いものが漂(ただよ)っていた。無言の本たちが、その内側(うちがわ)に記されたことばを何百年も大事に守り続けながら、毅然(きぜん)と姿勢よく並んでいる様子は、尊(たっと)くて、美しくて。自分でもよくわからないが、胸が震えて、急に涙がこぼれてきてしまった。図書室に来ていきなり泣き出す日本人。そばにいた警備員さんは、かなり不思議そうな顔で私を見てたけど。悲しいとか嬉しいとか、そういう時に出てくる涙とは違う。サラサラで透明で、なんの欲も業もなく、出てくる涙。視線を気にせず、ボロボロ泣いた。なんだっけ、この気持ち。たぶん、再会に、似てる。 小さい時から、本に囲(かこ)まれているのが大好きだった。図書室や、図書館に、いりびたってた。自分より、何倍も背の高い本棚の一番の上の段に、どんな本が並んでるのか、梯子(はしご)を使って覗くとき、すごくわくわくした。そういう子供のころの気持ちが、呼び起こされたからなんだろうか。でもそれだけじゃない、もっと大きな時の流れの中に再び巡り会ったような……。初めて来た場所でそんなこと言うと、前世の話とか持ち出されそうでイヤなんだけど。でも思いがけず、とても親(した)しいものに再会したような気持ちになったことは、確かだ。