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坂本真绫欧洲游记——From Every Where 1-1

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Sinopse

それじゃあ、行ってきます。5週間のひとり旅。大いなる冒険になるか、あるいは、大いなる浪費になるか。まだ私にも分からないけど、でもどうしても今行かなくちゃいけないんだってことはわかる。 あなただけが、私に、この旅に出る理由を聞きませんでした。ありがとう。きっと手紙を書きます。【一日目】-1 飛行機はあっけなく飛び立った。 成田の滑走路(かっそうろ)で急加速した機体がふわっと地面を離れた瞬間、旅に出るって言ってのは本気だったのね、とまるで他人ごとのように思った。 今にも降り出しそうな成田上空の分厚い雨雲を突き抜けて、穏やかな青空の中を飛ぶ。シートベルトサインが消えると、乗客たちはストップモーションを解かれたようにそれぞれの時間へと散っていった。誰だって少し緊張する。この一瞬、飛行機が離陸して安定するまで短い時間は。全身で重力を受け止めて、耳に気圧を感じて。でも違和感があるのは最初だけ。こうして揺れがおさまってしまえば、自分がどれだけ空の高いところにいて、どれだけ速いスピードで進んでいるのかなんて、すぐに忘れる。 なんにも言わず「大丈夫だから、行っておいて」とスケジュールを調整してくれた事務所のスタッフの顔が浮かぶ。「あんたの帰ってくる日に合わせて結婚式の日取りを決めたんだから、何があってもちゃんと帰ってきてよ」と電話をくれた親友の声も。 昨日、ほとんど一睡もできなかった。飛行機に乗ることも海外に行くこともいつの間にか慣れてしまって、最近はもう昔みたいにドキドキすることもなかったのに。37日間のひとり旅、行き先はヨーロッパ。航空券を買って、ユーレイルグローバルパスを買って、鉄道路線図を見ながら大体のルートをシミュレーションして、最初に行くパリのホテルだけ三泊分ネットで予約して。何もかも全部自分で決めて今日まで準備してきた。でもどんなに情報を集めてわかったつもりになっていても、しょせん部屋の中で小さなノートパソコンの画面を眺めていただけ。リアルな手触りのものなんてまだひとつもない。行ったこともない国の、読み方さえよくわからない名前の駅にコインロッカーがあるかどうかなんてこと知ったって、実際にたどり着くまでなんの意味もない。