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Sinopse
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Episódios
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坂本真绫欧洲游记——From Every Where 2-4
20/06/2016 Duração: 02min初めて訪れた国で、フランス語はひとつもわからなくて、目的地も曖昧で。そんな私が無事ホテルを探し当てることができたのは、途中本当にたくさんの地元の人たちに助けてもらったからだった。フランス人は英語を使わないとか観光客に冷たいとか、そんな噂を聞いたことがあったのにイメージと全然違うじゃないか。ほんのちょっと立ち止まって地図を見ているだけで通りすがりの人が次々と「道わかる?」と声をかけてくれる。メトロでは大荷物を持って立っている私に男の子が席を譲ってくれた。スリが多いと言われる扉付近の位置にオノボリサン丸出しで立っていたから、きっと心配してくれたのだろう。 メトロの切符の買い方がわからなくて自動券売機の前で立ち尽くしていると、黒人の美人のお姉さんが「大丈夫?」「カルネでいい?」とフランス訛りのかわいらしい英語でレクチャーしてくれた。困ったなと思った3秒後にはもう自動的に救いの手が差し伸べられている。優しくされるたび緊張している心がちょっとずつ柔らかくなっていった。パリって思ってた以上にすごくあったかいところなんじゃないかしら!それにこの部屋も、とても狭いけど大きいな窓があるから好き。揺れる白いカーテンも、パン屋さんの匂いも。旅の滑り出しは好調、なんだか良い予感。
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日本の昔话10——ネコがネズミを追いかける訳
19/06/2016 Duração: 01minむかしむかし、人間も生まれていない、大むかしのある年の暮れの事です。 神さまが、動物たちに言いました。 「もうすぐ正月だ。元旦には、みんな私の所に来なさい。そして、先に来た者から十二番目までを、その年の大将としよう」 ところが、うっかり者のネコは集まる日を忘れたので、友だちのネズミに聞きました。 するとネズミは、「ああ、新年の二日だよ」と、わざとうそを教えました。 さて、元旦になりました。 ウシは足が遅いので、朝早くに家を出ました。 ちゃっかり者のネズミは、こっそりウシの背中に乗って神さまの前に来ると、 ピョンと飛び降りて一番最初に神さまの前に行きました。 それでネズミが最初の年の大将になり、ウシが二番目になりました。 その後、トラ・ウサギ・タツ・ヘビ・ウマ・ヒツジ・サル・ニワトリ・イヌ・イノシシの順になりました。 ところがネコは、ネズミに教えられた通り二日に神さまの所へ行きました。 すると神さまは、 「遅かったね。残念だけど、昨日決まったよ」と、言うではありませんか。くやしいのなんの。「ネズミめ、よくも騙したな!」 怒ったネコは、それからずっと、ネズミを見ると追いかける様になりました。 おしまい
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坂本真绫欧洲游记——From Every Where 2-3
17/06/2016 Duração: 02minホテルの名前と空港からの行き方を出発前に調べてメモしてきていたんだけど、さあいざ行かんとその紙を取り出してみると、「RER、B線Chatelet-Les Halles駅、乗り換えメトロ7番Place Monge駅下車」 これだけしか書いてない。我ながらまたずいぶんと簡潔にまとめましたね。第一、これ何て読むの?チャット、レ……?フランス語の知識ゼロ。パリ初心者にはヒントが少なすぎやしませんか。しかしガイドブックは持って来ていない。荷物を少しでも軽くしたいし、現地へ行ってしまえばなんとかなるだろうと思って。眠れないくらい小心者のくせになぜかこういうところは大ざっぱなのだ。 とりあえずインフォメーションカウンターでパリ市内の地図とメトロ路線図をゲット。あとはこの唯一の手がかりの短いメモを頼りにひとつひとつクリアしていくほかない。ええと、確かRERっていうのは急行の電車でユーレイルパスで乗れたはずだけどどうだったかな……。駅員さんにたずねたいけれど窓口には長蛇の列。電車に遅れが出ているようで、イライラした大勢の客たちがターミナルに溢れ返っている。普段なら面倒になってタクシーに乗ってしまうところだけど、この旅の間は自分の足で歩き、なるべく電車で移動すると決めたのだ。最初から曲げるわけにはいかない。
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日本の昔话9——かさじぞう
16/06/2016 Duração: 03minむかしむかし、あるところに、貧乏(びんぼう)だけど心優しい、おじいさんとおばあさんがいました。ある年の大晦日(おおみそか)の事です。おじいさんとおばあさんは、二人でかさを作りました。それを町へ持って行って売り、お正月のおもちを買うつもりです。「かさは五つもあるから、もちぐらい買えるだろう」「お願いしますね。それから今夜は雪になりますから、気をつけて下さいよ」 おじいさんは、五つのかさを持って出かけました。家を出てまもなく、雪が降ってきました。雪はだんだん激しくなったので、おじいさんはせっせと道を急ぎました。村はずれまで来ると、お地蔵さま(おじぞうさま)が六つならんで立っています。お地蔵さまの頭にも肩にも、雪が積もっています。これを見たおじいさんは、そのまま通り過ぎる事が出来ませんでした。「お地蔵さま。雪が降って寒かろうな。せめて、このかさをかぶってくだされ」 おじいさんはお地蔵さまに、売るつもりのかさをかぶせてやりました。でも、お地蔵さまは六つなのに、かさは五つしかありません。そこでおじいさんは自分のかさを脱いで、最後のお地蔵さまにかぶせてやりました。家へ帰ると、おばあさんがびっくりして言いました。「まあまあ、ずいぶん早かったですねぇ。それに、おじいさんのかさはどうしました?」 おじいさんは、お地蔵さまのことを話してやりました。「まあまあ、それは良い事をしましたねえ。おもちなんて、なくてもいいですよ」 おばあさんは、ニコニコして言いました。 その夜、夜中だと言うのに、ふしぎな歌が聞こえてきました。♪じいさんの家はどこだ。♪かさのお礼を、届けに来たぞ。♪じいさんの家はどこだ。♪かさのお礼を、届けに来たぞ。 歌声はどんどん近づいて、とうとうおじいさんの家の前まで来ると、ズシーン!と、何かを置く音がして、そのまま消えてしまいました。おじいさんがそっと戸を開けてみると、おじいさんのあげたかさをかぶったお地蔵さまの後ろ姿が見えました。 そして家の前には、お正月用のおもちやごちそうが山のように置いてありました。
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坂本真绫欧洲游记——From Every Where 2-2
15/06/2016 Duração: 02min見上げれば薄水色の空。雲ひとつない。とても静かで平穏な一日の始まり。私、本当にパリにいるんだよね。まだ半分寝ぼけている。 今夜はメグミさんと食事の約束をしている。夜7時にオペラ座の前で待ち合わせ。メグミさんというのは昨日私がパリ. シャルル .ド . ゴール空港に降り立つや否やさっそく迷子になっているときに偶然出会った(助けられた、かな?)、日本人の女の子。彼女もひとり旅で、今回が初めてのパリなのだという。 「北海道のケーキ屋で働いていたんですけど。そこを辞めて東京のお店に転職することになって。その隙間に、思い切って来ちゃったんです。本場でお菓子をいろいろ食べてみたいと思って。」 「へえ!パティシェさんですか?素敵~」 「そちらは?」 「私は、実は5週間の旅に出たところで……」 「えっ、5週間?」 「パリだけじゃなくて、色々ヨーロッパを巡ろうと思っていて」 「ひとりで?すごーい!」 ひとりぼっちの心細さを紛らわすのようにお互い饒舌(じょうぜつ)だった。小柄でリスみたいにクスクスと笑うかわいらしい人。どちらからともなく滞在中に一緒にご飯でも食べましょうかという話になり、連絡先を交換。初日からいきなり誰かと夕食を共にすることになるとは。 たかがホテルまでの道のりが、昨日は大冒険だった。
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日本の昔话 8——カニの相撲
15/06/2016 Duração: 04min之前工作比较忙好久没有读了,今天继续开始! 天下人となった秀吉(ひでよし)は、大阪城(おおさかじょう)と言う、大きなお城に住んでいました。 大阪城にはきれいな池があって、そこには金で作ったカニが置いてありました。 それも、一匹や二匹ではありません。 大きいのやら小さいのやら、何百匹ものカニがキラキラと光り輝いていました。 ところが秀吉は、今度京都に新しい城を作ったので、そちらに引っ越す事にしたのです。 そこで秀吉は、この池の金のカニを家来たちに分けてやる事にしました。 「お前たちに金のカニを分けてやるが、誰にでもやるのではない。 何故、カニが欲しいのか。 カニを、どう言う事に使うのか。 その訳を言うがよい。 『それなら、カニをやってもよい』と、思う様な訳を言った者にだけ、分けてやる事にしよう」 家来たちはみんなは首をひねって、何と言えば、あのカニをもらえるだろうかと考えました。 そのうち、一人が進み出て言いました。 「殿さま。わたくしは、床の間の飾り物にしたいと思います。ぜひ、一匹下さいませ」 「おお、床の間の飾りか。それなら良かろう。お前には大きいのを一匹つかわそう」 「はい。ありがとうございます」 その家来は大きいカニを一匹もらって、得意そうな顔をしました。 すると、もう一人の家来が言いました。 「わたくしは、書が趣味です。ですから紙を押さえる文鎮(ぶんちん→紙が動かない様にする重り)にしたいと思います」 「そうかそうか。文鎮なら良かろう。ただ、文鎮では大きすぎては邪魔だから、小さいのを一匹つかわそう」 「はい。ありがとうございます」 その家来は小さいカニを一匹もらって、少し残念そうな顔をしました。 それからみんなは、次々と色々な事を言ってカニをもらいました。 「わたくしは、子どもや孫の代まで、いいえ、もっと先まで伝えて、家の守り神にしたいと存じます」 「わたくしは、・・・」 「わたくしは、・・・」 ところが家来の一人の曽呂利(そろり)さんだけは、みんなの様子を黙って見ているだけで、何も言いません。 「これ、曽呂利。お前はさっきから何も言わないが、カニが欲しくないのか?」 秀吉が尋ねると、曽呂利はつるりと顔をなでて、 「いえいえ、もちろん、わたくしも頂きとうございます。しかし」 「しかし、どうした?」 「わたくしの使い方は、一匹では足りませんので」 「何?一匹では足りぬ
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坂本真绫欧洲游记——From Every Where 2-1
24/04/2016 Duração: 03min【2日目】-1昨日は長い月曜日になった。結局飛行機の中でも全然眠れなくて、つまりその前の晩からほとうど丸2日間起きっぱなしだったわけで、ホテルの部屋にたどり着いたとたん気を失うようにしてベットに倒れ込んだ。夢も見ずに深く、深く眠って、次に目覚めたのはなんと11時間後。こんなにたくさん寝たのは久しぶり。見慣れない天井と壁紙の模様を見て、そういえばパリに来ているんだったと思い出す。のそのそと起き出して窓を開けるとひんやりと冷たい空気が頬に触れた。梅雨の前触れでもう蒸し暑かった東京に比べるとこっちはずいぶん肌寒い。夏物の薄いパーカーしか持って来なかったけど、もしかして上着が必要だったかな。さっきから何か良い匂いがすると思ったらどうやら向かいの建物の1階はパン屋さんみたいだ。ひっきりなしに緑色の扉が開いてお客さんが出入りしている。こんなに朝早くから、みんなパンを買いに来るんだなあ。これから学校や会社へ行くのだろうか、彼らは。見上げれば薄水色の空。雲ひとつない。とても静かで平穏な一日の始まり。私、本当にパリにいるんだよね。まだ半分寝ぼけている。今夜はメグミさんと食事の約束をしている。夜7時にオペラ座の前で待ち合わせ。メグミさんというのは昨日私がパリ. シャルル .ド . ゴール空港に降り立つや否やさっそく迷子になっているときに偶然出会った(助けられた、かな?)、日本人の女の子。彼女もひとり旅で、今回が初めてのパリなのだという。 「北海道のケーキ屋で働いていたんですけど。そこを辞めて東京のお店に転職することになって。その隙間に、思い切って来ちゃったんです。本場でお菓子をいろいろ食べてみたいと思って。」 「へえ!パティシェさんですか?素敵~」 「そちらは?」 「私は、実は5週間の旅に出たところで……」 「えっ、5週間?」 「パリだけじゃなくて、色々ヨーロッパを巡ろうと思っていて」 「ひとりで?すごーい!」ひとりぼっちの心細さを紛らわすのようにお互い饒舌(じょうぜつ)だった。小柄でリスみたいにクスクスと笑うかわいらしい人。どちらからともなく滞在中に一緒にご飯でも食べましょうかという話になり、連絡先を交換。初日からいきなり誰かと夕食を共にすることになるとは。たかがホテルまでの道のりが、昨日は大冒険だった。
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日本の昔话 7——山の神がくれたお嫁さん
14/04/2016 Duração: 01minむかしむかし、あるところに、病気の母親と親孝行の息子がいました。 ある日、息子が山で働いていると、やぶの中から、しらがの鬼ババが出てきました。 そして、息子のお弁当をのぞいていいました。 「病気の母親にも、そんなにそまつな飯を食わせているのか?」 「母親には、ちゃんと白いご飯を食べさせているよ」 息子が答えると、鬼ババは、 「そうか、そうか。ではあと十日したら、お前の家に行くから、白いご飯をたいておけ」と、言って、やぶの中に消えてしまいました。 十日たって、息子が白いご飯をたいて待っていると、外からドスンときれいな箱が落ちてきました。 箱をあけてみると、中にはきれいな娘が入っていて、 「山の鬼ババに、ここの嫁になれと言われました」と、言うのです。 息子はよろこんで、娘をお嫁さんにしました。 お嫁さんは、となり村の長者(ちょうじゃ)の娘でした。 話しを聞いた長者も、親孝行で心のやさしい息子が好きになって、たくさんのお金をわたしてやりました。 それで三人は、しあわせにくらしました。 あの鬼ババは、本当は山の神さまだったのです。 おしまい
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坂本真绫欧洲游记——From Every Where 1-5
10/04/2016 Duração: 02min【一日目】-5子供の時から自分のことをなんの特徴もないつまらないやつだと思ってた。でもやっと見つけた、自分だけのオリジナリティ。他になんの取り柄もないけど、歌やお芝居をしているときだけは自由な気持ちになれた。心から夢中になれることがあって、しかも誰から必要とされるって、こんなに幸せなことはない。生まれてきた意味を感じられる。こんな言い方も、私にとっては全然大げさじゃない。 だけどどうしても今、無理をしても少し休まなくちゃいけないって自分で決めたんだ。好きなことに一生懸命なのは良い。でも、ときどきわからなくなる。歌手でも声優でも女優でもラジオパーソナリティでもない坂本真綾という人の、大切なものは何なのか。 明日から毎日どうやって過ごせばいいというのだろう。私の「最低限必要なもの」、日本においてきてしまった。 何も持たないただの私。今日から5週間、自分自身と、二人きりで旅をする。
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日本の昔话 6——キツネとタニシ
04/04/2016 Duração: 04minむかしむかし、足の速いのがじまんのキツネがいました。 あるとき、このキツネがタニシにいいました。 「ちょっと都(みやこ)まで、いってきたんじゃ」 キツネは足のおそいタニシを、いつもバカにしています。 「都までは遠いから、足のおそいタニシなんかには、ぜったいにいけんところじゃな」 タニシはキツネがじまんばかりしているので、ちょっとからかってやろうと思いました。 「キツネさん、そんなに足が速いのなら、わたしと都まで競走(きょうそう)しませんか?」 「ギャハハハハハハー! タニシがどうやって、あんな遠くまでいけるんじゃい」 「キツネさんにいけるなら、わたしにだっていけます。だいたいキツネさんは、わたしよりはやく歩けるのですか?」 「なに! わしのほうが速いにきまっとる!」 はじめはバカにしていたキツネも、だんだんおこってきました。 「よーし、そんなにいうのなら、わしとどっちが早く都へつくか、競走じゃ!」 こうして、キツネとタニシの競走がはじまりました。 「よーい、ドン!」 キツネは、ドンドン歩きはじめました。 ふりかえってみると、タニシはもう見えません。 「まったく、わしが勝つにきまっているのに。ほら、もう見えなくなっちまった。バカバカしい」 キツネはバカらしくなって、ちょいとひと休みです。 すると、タニシの声がしました。 「おや? もう疲れたのかい、キツネさん。それではお先にいきますよ」 キツネはビックリ。 遠くヘおいてきたと思ったタニシが、すぐそばにいるではありませんか。 「おかしい。おいつかれるはずは、ないんじゃが・・・」 キツネはふしぎに思いながらも、また歩きはじめました。 そのうちに、山に夕日がしずみはじめました。 キツネはまたまた、バカバカしくなってきました。 「タニシなんかと早歩き競走したって、なんにもならんわ。わしが勝つにきまってるんだから。それに、本当のこというと、都なんかいったこともないし。・・・だいぶ遠いんじゃろな」 キツネは立ち止まって、おしっこをしようとしました。 すると目の前に、タニシがいます。 「キツネさん、早くしないとおくれますよ。わたしについておいで」 「そんなバカな!」 キツネは信じられません。 でも、タニシはそこにいます。 キツネは気持ちわるくなって、むちゅうで走りだしました。 本当は、タニシはキツネのしっぽにつかまって、やってきたのでした。
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日剧日影 2——《ただ、君を愛してる》静流から誠人への手紙
27/03/2016 Duração: 03min誠人(まこと)へ 元気ですか。二年ぶりだね。突然(とつぜん)の手紙(てがみ)で驚(おどろ)いた? まずはお世話(せわ)になったお礼(れ)も言わずに、突然(とつぜん)いなくなってごめんなさい。誠人にキスしてもらったあの日、なんだか、急に恥(は)ずかしくなっちゃって。キスにじゃないよ、私は口ばっかりで、ぜんぜん大人(おとな)になれてないなって。だから私はちょっと冒険(ぼうけん)してみることにしたの。題(だい)して、『自立(じりつ)の旅(たび)』。誠人に教(おし)えてもらったカメラだけを頼(たよ)りに、私は一人でニューヨークに来てみたの。 けど、思い切(き)ってきたのはいいけど。あてなんか全然(ぜんぜん)なくて、とにかく何日(なんにち)も何日も歩(ある)き回(まわ)って、ようやく今の事務所(じむしょ)に就職(しゅうしょく)できたの。こっちじゃ結構(けっこう)有名(ゆうめい)なフォトグラファーの個人(こじん)事務所、MGスタジオ。 それでね、その個人フォトグラファーさんに助手(じょしゅ)をしながら、自分(じぶん)の写真も撮(と)っているうちに、何(なに)がなんだか、私の個展(こてん)を開(ひら)くことになっちゃって。でね、その個展をどうしても誠人に見てもらいたいの、私の初めての個展とこの二年間で驚(おどろ)くほど成長しちゃった私の姿(すがた)を。誠人はきっと今の私を見たら、驚くよ。誠人に宣言(せんげん)したとおり、私は良い女になったから。誠人はきっと後悔(こうかい)するよ。やっぱりあの時付(つ)き合(あ)っておけば良かったって。 けど、本当はそんなことはどうでもいいの。今はただ誠人に会いたい。誠人に会ってできれば褒(ほ)めてほしいの。よく頑張ったね。偉(えら)いねって。あの時みたいな優(やさ)しい声で。ここは渡(わた)れないから、向(む)こうから渡ったほうがいいよって。私はあの瞬間(しゅんかん)に、誠人に恋をしたんだから。 誠人のことが世界で一番好きになったんだから。 ねえ、誠人、あのキスのとき、少しは愛はあったかな。
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日本の昔话 5——ノミの宿
21/03/2016 Duração: 04minむかしむかしの、ある夏の日の事です。 村の佐助(さすけ)じいさんは用があって、旅の途中で宿(やど)に泊まりました。 ところが、この宿屋にはノミがたくさんいて、とてもねむることは出来ません。(やれやれ、帰りもまた、ここで泊まらにゃならんが、こんな事ではどうにもならん。何とかせにゃ) 次の朝、佐助じいさんは朝めしを食ベるとそうそうに旅仕度をして、店先にいた宿の女主人に言いました。 「ばあさんや。お前さんの家では、なんとももったいない事をしとるのう」 するとおばあさんは、不思議そうにたずねました。 「それはまた、何の事で?」 「いや、ほかでもないが、わしの村ではな、薬屋がノミを買い集めておるわ。高値でのう。それなのにお前さんのところでは、こんなにノミがおるのに、なんでお売りなさらんのじゃ」 「お客さま。ノミが薬になりますかいな?」 「ああ、なるとも、なるとも」 「いったい、何に効きますのじゃ?」 「痛み、切りきず、ふき出もの、やけど、鼻づまり。何でも効くぞ」 「それではお客さま。ぜひ、家のノミも買うてくだされまいか?」 「ああ、いいともいいとも。わしは、あと三日たったら、またお前さんの所で泊めてもらうで、それまでに精を出して、たんと捕まえておきなされ。わしの村ヘ持っていって、売ってしんぜよう」 そういって、佐助じいさんは宿を出ました。 さて、それから三日後。 佐助じいさんがこの宿にきて泊まると、ノミは一匹もいません。 おばあさんがよほど精を出して取ったらしく、お陰で、ぐっすりとねむることが出来ました。 あくる朝、佐助じいさんが宿を出ようとすると、 「旦那さま、旦那さま」 「何か、ご用かね?」 「あの・・・、ノミをたんまり捕まえておきましたで。ほれ、このとおり。どうぞ、これを売ってきてくだされ」と、紙袋を差し出しました。 「どれどれ。おおっ、これはお見事。これだけの数を、よう、お取りなされた」 佐助じいさんは感心したようにいうと、袋をていねいに宿のおばあさんに返して、 「この前、言うのを忘れておりましたが、ノミは二十匹ずつ、ちゃんと串にさしておいてくだされ。一串、二串と勘定せにゃ、とても数えられませんのでな。近いうちにまたきますで、串をこしらえて、ちゃんとさしておいてくだされ。頼みましたぞ。じゃあ、おおきに、お世話になりましたな」 そういうて佐助じいさんは、とっとと宿を出て行きました。 むろん、佐助
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日语朗读——京都二十四節気(1) 春分
20/03/2016 Duração: 01min很喜欢京福电车做的《京都二十四節気》系列,很喜欢原广告中檀丽的朗读,今天正好是春分,就来读一下春分这篇吧。春分 日天の中を行て、昼夜等分の時也。 爛漫と咲き誇る桜は、今も昔も人々を物見遊山へと誘います。昔、農民は桜を見て豊作を祈り、貴族は宴を開いて、花の美しさを愛でました。この農民と貴族の風習が結びついて、今日の花見になったといわれます。それぞれが自分の場所で、自然を称え、心を豊かにしていたんですね。春のお彼岸。曾て人々は西の彼方にご先祖様の住む極楽浄土があると信じていました。太陽が真西に沈む春分は、極楽浄土にもっとも近づける日とされたのです。心の中に大切な場所があるからこそ、力強く歩いていけるのかもしれませんね。春はもう満開近し、清々しい空気が満ち溢れてきます。
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日剧日影 1——《Mother》二十歳の継美への手紙
10/03/2016 Duração: 04min継美へあなたは今、「怜南」と名乗っている事と思いますだけと今は敢えて、「継美」と呼ばせて下さいこの手紙は、12年後のあなたに書く手紙です20歳になったあなたに宛、書いている手紙ですいつか、大人へと成長したあなたが読んでくれる事を願って継美、「うっかりさん」を覚えていますか?私の母であり、あなたとの旅の途中で再開した「望月葉菜さん」の事をあの時あなたの母になろうとしなければ、きっと私も母に出会うことは無かったと思いますあなたの母になったから、私も最後の最後に母を愛する事が出来た不思議な運命を感じていますあなたは知っていますか?渡り鳥が、どうして迷わずに目的地に辿り着けるのか例えば鳥達は、正座を道標にするのです北極星を中心とした、おおくま座、こぐま座、カシオペア座星々を頼りにして、鳥達は北を目指すのです鳥達はそれを、ひなの頃に覚えるのですひなの頃に見た星の位置が、鳥達の生きる上での道標となるのです私は明日、あなたに別れを告げますあなたを連れて、室蘭に向かいます会うことを許されない私達、母と娘を名乗る事の出来ない私達それでも私は信じていますいつかまた私達が再び出会える事を、いつかまた手を取り合う日が来る事を私と母が30年の時を経て出会ったように幼い頃に手を取り合って歩いた思い出があればそれはいつか道標となって、私達を導き巡り会う20歳になった継美あなたは今どんな女性になってるでしょう?どんな大人になっているでしょう?出会った頃の104センチのあなたは今、流行りの服を着て小さな16.5センチの靴を履いていたあなたは今、少し踵の高い靴を履いて私の前に歩み寄ってくるすれ違うその時、私はなんて声を掛けよう?向かい合ってあなたと何を話そう?何から聞こう?私が分かりますか?身長はいくつですか?恋をしましたか?親友はいますか?今でも水色は好き?しいたけは苦手?逆上がりはまだ出来ますか?クリームソーダは好きですか?もしよかったら、また一緒に飲みませんか?継美、元気ですか?20歳のあなたに出会う事を思うと今から胸が高鳴り、ひとり笑みが零れてしまいますあなたとの明日を笑顔で待っていますあなたに出会えて良かったあなたの母になれて良かったあなたと過ごした季節あなたの母であった季節それが私にとって今の全てであり、そしてあなたと再びいつか出会う季節それは私にとって、これから開ける宝箱なのです愛しています母より追伸、クリームソーダは飲み物ですよ
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日本の昔话 4——豊田佐吉のはたおり機
10/03/2016 Duração: 03min今では世界のトヨタとして、多くの自動車を作るトヨタ自動車株式会社ですが、これはそのトヨタが誕生する前の、初めの初めのお話しです。 むかし、遠江(とおとうみ→静岡県)の山口村に、豊田佐吉(とよださきち)という、貧しい大工の息子がいました。 まだ小学校を卒業したばかりの十二才ですが、佐吉は家計を助けるためにお父さんの仕事を手伝いするようになりました。 ある日の夜遅く、はたおりをしていたお母さんが佐吉にたずねました。 「おや? 佐吉。どうしたね。また、お父さんにしかられたか? お父さんは、きびしい人だからね。でもね、つらくてもがんばるんだよ。お父さんは、お前を立派な大工にしたいんだからね」 そう言うお母さんの手は、バッタン、バッタンと、はたおり機を忙しく動かしています。 それをしばらく見ていた佐吉は、お母さんにたずねました。 「ねえ、それって、一日に、どのくらいおれるの?」 「ああ、これかい。そうだね、頑張っても、一尺(いっしゃく→三十㎝)ぐらいかねえ」 お母さんは、にっこり笑って答えましたが、なんだか、とても疲れている様子です。(お父さんや僕の仕事は、夜になると終わるけど、お母さんは朝から夜中まで一日中だ。何とか工夫して、お母さんに楽をさせてあげたいな) 佐吉はそう思いながら、はたおり機の動きをじっと観察しました。(手を、上に、下に、左に、右に。・・・なんだ。布をおるのは意外と簡単だな。これを自動で出来れば、もっと簡単に、もっとたくさんの布がおれるかもしれないぞ) 手先が器用で、大工としてもなかなかの腕前だった佐吉は、その日からはたおり機を改良して、なんと自力で、足ぶみ式のはたおり機を作りあげたのです。 「どう、お母さん」 佐吉が作ったはたおり機を動かしたお母さんは、びっくりです。 「えー、これは前よりずっと楽だし、たくさん布がおれるわ。佐吉、ありがとう」 「えへへ。こんなのはまだまださ。もっともっと改良して、自動で布がおれるはたおり機をつくってやるよ。僕の夢はね、このはたおり機で、お母さんも、村のみんなも、そして日本の人たちみんなを、もっと楽にすることさ」 その言葉通り、佐吉は足ぶみ式のはたおり機を何十年もかけて改良していき、ついに六十才の時に、完全全自動の『豊田式自動はたおり機』を完成させたのです。 これは、日本が世界に誇る大発明です。 その後、佐吉は『豊田式自動はたおり機』の特許権を売った資
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坂本真绫欧洲游记——From Every Where 1-4
06/03/2016 Duração: 03min【一日目】-4ちょうど毎年ファンクラブで作っているカレンダーのための撮影をそろそろしなければ間に合わない時期で、せっかくの機会だからどこかの国で数日間だけ合流して撮影してはどうかとスタッフに提案された。「それならばぜひリスボンが良い。行ったことがあるわけじゃないけど、何がいい予感がするの。一番最後に行こうと思ってる街だから私も休みボケのリハビリになって良いかも」ずっと前から私の頭の中にだけ存在していた、あの街を歩く自分の姿を作品にして残すことができたならどんなに嬉しいだろう。1ヵ月後にポルトガルの首都リスボンで撮影クルーと待ち合わせ。それが今の私の唯一のスケジュール。たとえ旅の途中でスリに身ぐるみはがされても、燃えるような運命の恋に出会っちゃっても、絶対に約束の日までにリスボンに行かなくちゃ。 なんで今、旅じゃなくちゃいけなかったのか。冒険、気晴らし、逃避、修行、いろんな言い方ができるけれど。 旅に行く理由をいろんな人に聞かれて、うまく答えることができなかった。「20代最後の記念に」とか言っておけばみんな適当に納得してそれ以上追求しない。「贅沢だね」「うらやましい」なんて言われると嫌な違和感を感じたけれど、ヘラヘラと愛想笑いを返すだけ。もしこのモヤモヤした思いをうまく言葉にして誰かに伝えることができるくらいなら、きっと旅に出る必要もなかった。 仕事をしない自分になるのは21年ぶり、か。 8歳からこの仕事を初めて今日まで、休みが欲しいと思ったことは一度もなかった。今だって別に休みたいわけじゃない。スケジュール帳にぎっしりと予定が書き込まれていないと落ち着かないほど忙しいのが大好きで、いつでも人生の真ん中にあったというのに、1ヵ月も仕事から離れるなんて本当に想像もできないこと。
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日本の昔话 3——サルカニ合戦
29/02/2016 Duração: 03minサルカニ合戦 むかしむかし、カキの種をひろったサルが、おいしそうなおにぎりを持ったカニに、ばったりと出会いました。 サルはカニのおにぎりが欲しくなり、カニにずるいことを言いました。 「このカキの種をまけば、毎年おいしいカキの実がなるよ。どうだい、おにぎりと交換してあげようか?」 「うん、ありがとう」 カニは大喜びで家に帰り、さっそくカキの種をまきました。 そして、せっせと水をやりながら、♪早く芽を出せ、カキの種♪早く芽を出せ、カキの種♪出さねばはさみで、ほじくるぞ すると、どうでしょう。 さっきまいたカキの種から芽が出てきて、ぐんぐん大きくなりました。♪早く実がなれ、カキの木よ♪早く実がなれ、カキの木よ♪ならねばはさみで、ちょん切るぞ こんどはカキの木に、たくさんのカキが実りました。 「よし、これでカキが食べられるぞ」と、カニはカキの実を取りに行こうとしましたが、カニは木登りが出来ません。 「どうしよう?」 困っていると、さっきのサルがやってきていいました。 「ありゃ、もうカキが実ったのか。よしよし、おいらが代わりにとってやろう」 サルはスルスルと木に登ると、自分だけ赤いカキの実を食べ始めました。 「ずるいよサルさん、わたしにもカキを下さい」 「うるさい、これでもくらえ!」 サルはカニに、まだ青くて固いカキの実をぶつけました。「いたい、いたい、サルさんずるい」 大けがをしたカニは、泣きながら家に帰りました。 そして、お見舞いに来た友達の臼(うす→もちをつくる道具)とハチとクリにその事を話しました。 話しを聞いたみんなは、カンカンに怒りました。 「ようし、みんなであのサルをこらしめてやろう」 みんなはさっそくサルの家に行き、こっそりかくれてサルの帰りを待ちました。 「おお、さむい、さむい」 ふるえながら帰ってきたサルが、いろりにあたろうとしたとたん、いろりにかくれていたクリがパチーンとはじけて、サルのお尻にぶつかりました。 「あちちちっ、水だ、水」 お尻を冷やそうと水がめのところへ来ると、水がめにかくれていたハチにチクチクと刺されました。 「いたいっ、いたいよう、たすけてぇー!」 たまらず外へ逃げ出すと、屋根の上から大きな臼が落ちてきました。 ドスーン! 「わぁー、ごめんなさーい、もう意地悪はしないから、ゆるしてくださーい!」 それから改心したサルは、みんなと仲良くなりました。おしま
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坂本真绫欧洲游记——From Every Where 1-3
28/02/2016 Duração: 03min【一日目】-3 「いつか」が実現することは、ほとんどない。たとえそれが近い距離の場所であっても。いつかやろう、いつか言おう、いつかまた会おうと、たくさん思っていることのうち一体いくつのことを実行できるだろう。多くはいつかのまま、その日が来ることはない。大人になった私はそのことを知っている。時間がないから、お金がないから、力が足りないからという理由は、いかにも仕方がないことのように思えるけれど。 調べてみると日本からポルトガルへの直行便はなかった。どうせ乗り換えをするのなら経由地をパリにしてついでにちょうと滞在しよう。そこも、いつか行ってみたい街のひとつだったから。「いつか」の街に、片っ端から行くことにしよう。チェコのプラハ、イタリアのベネチアとローマ、スペインのバルセロナとマドリッドも。世界地図を広げると、どの都市もそれぞれ離れている。ひとくちにヨーロッパと言ってもポルトガルは南欧の一番端っこ、チェコは中欧の上の方だ。でも行きたいと思う街を線で結んでみると、列車で移動すれば全部巡ることができるんじゃないかという気がしてきた。 ユーレイルグローバルパスは西ヨーロッパ20ヵ国の国鉄を無制限に乗り降りできるパスで、私が候補地にあげた中ではチェコ以外すべての国で利用できることがわかった。航空券もオープンジョーにして合わせて考えれば効率が良さそうだ。 オープンジョーというのも今回初めて知ったけど、往路と復路の発着地が別の地となる航空券のことで、すべて同じ航空会社を利用するなどの条件を満たせば最大3都市まで乗り降りできる。試行錯誤を重ね私のたてた計画はざっとこんな感じ。まず成田→パリ、そしてパリ→プラハを飛行機で移動。あとは鉄道で適当に行きたいところを通りながら南下して、最後はユーラシア大陸最西端のポルトガル、リスボンへ。帰りは、リスボン→パリを飛行機で戻り、パリ→成田で帰国。文字で書くだけならずいぶん簡単そうだ。
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日本の昔话 2——アワの長者
25/02/2016 Duração: 06minアワの長者むかしむかし、ずーっとむかしのむかし話だよ。 ある村に、働き者じゃが、貧しい暮らしをしている男がおりました。 「ああーっ、腹へったなー。腹いっぱい飯食ってみてえなあ~」 いつも腹をすかせている男の見る夢は、食べる夢ばっかりだった。 ある晩のこと、男は真に不思議な夢を見た。 荒地の果てからやってきた、白い一頭の馬。 馬は光に包まれ、まぶしいほどの白さじゃった。 馬は、ずっしりとよく実った金色のアワの穂を、美味しそうに食べている。 じっと見つめていると、白い馬は急に首を振った。 口元からポーイと飛んだアワの穂は、空中でクルクルと舞ってキラキラ金色に輝きながら、男の前に落ちてきた。「あっ、夢か、夢! 何という夢じゃ。金のアワ。それに神々しい白い馬、神さまが現れたあの荒地は」 夢から醒めた男は、あの白い馬が立っていた荒地は、自分が一度行ったことのある場所だと気付いた。 朝が来るのを待ってさっそく出かけ、見覚えのある、その荒地にたどり着いた。「ここだ、間違いない。夢の場所とおなじだ。・・・あっ!」 驚いたことに、荒地の果てからアワの穂をくわえた夢で見た白い馬が、男に向かって歩いてきた。 そしてくわえていた、その金のアワの穂を男に渡した。「ああ、ありがたい。きっとこれは、この荒地を耕して、アワをうえなさいという、神さまのお告げにちがいない」 男はそう信じて、そこの荒地を耕しはじめた。 春を待って、種をまき。 夏、照りつけるお日様。 畑に這いつくばって、せっせと草を取った。 秋になると、男の植えたアワの穂は重く実り、あたり一面金色に輝いて波打った。 大豊作だ。 それを売りさばいた男は、たちまち大金持ちとなって「アワの長者」と呼ばれた。 それから何年か経ったある年。 村はまた、ひどい飢饉にみまわれた。 これまでにない厳しい寒波が襲って、子供たちは腹を空かして寒さにおびえ、泣きわめいた。 村の者は集まって、相談した。「アワの長者さまに、おねがいしてみるか」 「そうだそうだ、あそこの蔵には、山ほどアワでもなんでも仕舞い込んである。むかしはわしらと同じ貧乏だった長者さまだ。助けてくれるに違いない。」 そう話がまとまると、皆して長者さまのお屋敷に詰め掛けた。 散々頭下げてお願いすると、それまで黙って聞いていた長者さまは一言大声を出した。「うるさい! 聞きとうない! アワは一粒もない! 無断で蔵
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坂本真绫欧洲游记——From Every Where 1-2
22/02/2016 Duração: 04min【一日目】-2 荷造りしているときも自分にとってどれが必要でどれが要らないものなのか、うまく判別できなかった。なるべく身軽に、最低限必要なものだけ…でも私の「最低限」って何だ?パソコンも携帯も化粧品も、どれだって普段手放せないものだから何の疑問もなく鞄に入れたけれど、本当に絶対必要なのかって改めて考えてみると、よく分からない。何度も鞄から出してはまた入れて、繰り返し。いつもの基準、今までの経験、どれも当てにはならない。だって全く想像もできないようなことばかりなんだもの。5週間も日本を離れること、5週間も仕事を休むこと、ひとりきりでそんなに長く旅をすること、外国の鉄道に乗ること、何もかもが初めて。不安と言ったって一体何から不安がっていいのかもわからないくらいにいろんな心配事がてんこ盛りで、だからなのだろうか、さっきから私はどうでもいいようなことを一生懸命考えている。人間の肌の細胞は約28日で生まれ変わるって化粧品のCMで言ってたな、とか。1ヵ月後帰国してもう一度成田に振り立つとき私は、まったく新しい細胞に包まれているということか。 たとえばこれは、勇敢なバックパッカーの冒険いっぱい、武勇伝いっぱいの旅の記録にはならないだろう。かといってお買い物と美味しいものに明け暮れるセレブなバカンス日記でもない。私が今、どうしても旅という形でしか具現できそうにない思ったのは、ただ当たり前のことをし続ける時間だ。必要なだけ寝る、必要なだけ食べる、必要なだけ歩き、必要なだけ考える。そんなことですら、日常の中にいてはもう簡単に取り戻せないくらい今の私には遠い。できればこのノートに、特別な事件がたくさんよりも、平凡で当たり前のことが毎日丁寧に綴られることになれば良いと思う。 ずっとむかし、テレビで偶然目にして以来忘れない風景がある。それは、夕焼けに染まった、遠いポルトガルという国の風景だった。どうしてかわからないけど、映像が画面に映し出された瞬間から強く惹きつけられて目が離せなかった。海があって、お城があって、石畳で…。自分の日常とはかけ離れた世界への憧れの気持ち。でもそれだけじゃなくて、何か懐かしいような親しみを覚えた。坂だらけなところが生まれ育った街に少しだけ似てたからだろうか。あったかい光の中、あの狭く曲がりくねった坂道を歩いている自分の背中が、瞬間的に想像できたのだ。いつかきっと行こう。そう思